2020年3月19日のニュース・ワールドビジネスサテライト(WBS)では、
3月29日から始まる羽田新ルートで“混乱”というテーマで特集されました。
その内容をまとめていきます。
NHK 都心上空通過の羽田新ルート「夏場が課題」パイロット指摘より
WBS|羽田新ルートで“混乱”(3月29日スタート)
今、この新ルートを巡って現役パイロットからも不安の声が上がるなど、混乱が起きてるんだそうです。
これまでのルートは海側から着陸し、海側へ離陸。
滑走路で飛行機が交差し、離着陸の効率が悪いため新ルートの着陸は、都心側から着陸することになっています。
そのため、新宿、渋谷などの人口密集地や、高輪などの住宅地の上空を突き抜けます。
NHK「羽田増便へ 都心上空の新ルート3月運用開始へ」より
その新ルートの真下にあたる東京・港区、みつばち保育園。
都心では珍しく、広い園庭がある保育園です。
ところが、先日行われてた試験飛行では、
「大きな音でびっくりしたんだと思います。1歳9カ月の子供は泣き出していました」
保護者からは、
「子供がいると静かな方に行きたいと思ってしまいます。引っ越す人も多いのかな。」
羽田空港は、国内線と国際線を入れると年間で44万7,000回発着する東京の玄関口です。
ただ、近年はその発着枠はパンク状態。
新ルートを使うことで、国際線の発着数は、6万回から9万9,000回に増加。
政府は経済効果を約6500億円と試算しています。
新ルートが半月後に迫る中、今ある困難が起きています。
羽田問題解決プロジェクトの大村 究代表は、
「この状況で3.45度で降りるのは、とんでもないリスクを高めること」
地元住民が指摘しているのは、着陸の角度についてです。
国際基準になっている安全な着陸方法は、3,400フィートから3度で降下し、そのままの角度で着陸するもの。
しかし、国交省は去年末、住民から騒音が大きい懸念を受け、ぎりぎりまで高い高度で飛び、通常より急降下することになる3.45度を提示しました。
騒音を少しでも減らそうとする狙いです。
これには、世界中のパイロットで構成される国際的機関、IFALPA(国際定期航空操縦士協会連合会)でも、
『羽田新ルートは、ほとんどのパイロットが今まで経験したことのない進入角になる』
として懸念を表明。
そして、先月(2月1日)に行われた試験飛行では、ある出来事が・・・
2月1日、カナダのトロントから飛び立ったエア・カナダ1便。
向かった先は日本の羽田空港です。
順調に見えた飛行機に、突如異変が・・・
羽田空港に向かう途中の茨城県上空で1回旋回。
その後、新ルートで羽田空港に向かうと思いきや、引き返します。
そして同じ場所で奇妙な旋回を繰り返し、
結局向かったのは、千葉県の成田空港でした。
この時、パイロットは羽田新ルートの3.45度での着陸が出来なかったのです。
Wikipedia エア・カナダより
エア・カナダの関係者は、
「羽田に着陸できなくて、成田に着陸したのは事実です。羽田の新ルートを利用するかどうか、まだわかりません」
国内航空会社の現役パイロットからも懸念の声が上がっています。
「特殊な進入方式を設定している時点で、羽田空港は安全ではないという言い方しか出来ない。経験が少ないパイロットには難しいかなという気がします」
「3.45度をやらずに済むのであれば、やらない方が良いのは間違いないですね」
さらに別のパイロットは、
「皆3.45度がなくなった方が良いと思っている」
「本当はパイロットで手を組んで反対したい」
こうした状況の中、全日空の訓練センターでは、
シミュレーターで、新ルートの飛行シミュレーションが行われていました。
安全性を高めるために、ANAとJALは初めは3.45度で降下し、最終的に国際基準の3度で着陸する方法を提案。
国交省もこれを認めました。
3.45度の試験飛行の結果、どのくらい騒音は軽減されるのでしょうか。
テレビ東京の取材に対し、国交省は騒音の軽減効果は人間には違いが分かりにくいわずか1デシベル程度だったと明らかにしました。
運用開始が迫る中、航空会社の対応で混乱が続いています。
さらに、新型コロナウイルスによる減便が相次ぐ今、国は予定通りに新ルートをスタートするのでしょうか?
赤羽国交大臣(13日国会内)
「今少し便数が減っているから、この運用を先延ばしにしていいことはないと思いますんで」
Q.もう少し顕彰に時間をかけることは?
「検証に時間をかけるより3月29日から実際運用した方がより安全というか、いいことを高めあえると思いますけど」
以上、WBSのまとめになります。
今後、新ルートの必要性と安全面での判断をどう判断するか、とても行方が気になる内容でした。